Ⅺ期

1.はじめに
2024年元旦に、能登半島一帯に大地震が発生した。日本中が新年を祝っているさなか悲惨な状況が刻々とニュースで報道された。死者やけが人が多数出た中で、古い家屋が多いことから激しく崩壊している映像が流された。2024年はコロナが終息に向かうものの世の中は依然として感染症の不安は残った。ウクライナとロシアの戦争は3年目を迎えた。
2024年11月にアメリカではトランプ政権が再発足した。2025年3月には仲介に入ったトランプとウクライナのゼレンスキー大統領との会見がホワイトハウスで行われた。しかし、世界中の人々が注目するTV放映中、前代未聞の言い争いとなり、仲裁は失敗に終わった。日本では岸田首相から石破首相に代わり、日本の社会変化が期待された。少数与党の中、ぎくしゃくした国会審議、2024年から異常な物価高騰が続いた。2025年3月に令和の米騒動百姓一揆、コメ農家のストが起こった。アメリカ発信の関税大幅引き上げにより世界中が経済的不安に見舞われた。
十期でも点字誘導ブロックをモチーフにして作品を表現してきたが、2024年から、モチーフを点字誘導ブロックに絞り、作品を製作した。点字誘導ブロックは日本で発明され昭和42年に岡山県の盲学校前に敷かれた。その後全国に広がった。現在では世界の150か国に波及している。特に都心部では至る所に点字誘導ブロックは敷かれていた。
使用する私はその物語性やJIS規格でありながら敷かれ方による造形の面白さを感じていた。視覚障がい者の存在を広く伝えたいとも思うようになっていった。
次第に福祉にかかわる方との交流が深まった。制作意図を理解する6名の協力者に外出先での点字誘導ブロックの撮影を依頼した。横浜市内はもとより、横浜市を中心にして、沖縄県、広島県、神戸市、京都府、奈良県、大阪市、山梨県、の各地の点字誘導ブロックの写真の提供を受けた。6名は美術や写真の専門ではないが、視覚障がい者のサポートをとおして点字誘導ブロックを身近に観察している方々だった。渡された資料を基に再構成し作品を製作した。
2024年~2026年にかけて発表した点字誘導ブロックをテーマとした主な作品
●2024モダン74
・作品名:点字誘導ブロック沖縄国際通ミンサー織2024
・作品名:点字誘導ブロックヨコハマポートサイド2024
★2025モダン75
・作品名:点字誘導ブロック京都府河原町付近2025
・作品名:点字誘導ブロック奈良県平城京跡地2025
💛2026年モダン76
・作品名:点字誘導ブロック広島市2026
・作品名:点字誘導ブロック島根県2026
・モダン74作品の写真ファイル名


●2024年4月第74回モダンアート展、東京都美術館展示発表
・作品名:点字誘導ブロック沖縄国際通ミンサー織2024
・作品名:点字誘導ブロックヨコハマポートサイド2024
大きさ:900mm×1200mm
技法:ミクストメディア、クリア点字シートコラージュ
製作年月日:2024年4月
・モダン75作品の写真ファイル名


★2025年4月第75回モダンアート展、東京都美術館展示発表
・作品名:点字誘導ブロック京都府河原町付近2025
・作品名:点字誘導ブロック奈良県平城京跡地2025
大きさ:900mm×1200mm
技法:ミクストメディア、クリア点字シートコラージュ、アンティークライターと椿花の
・モダン76作品の写真ファイル名
2作品が撮影出来た跡ここに挿入してください。
💛2026年4月第76回モダンアート展、東京都美術館展示発表
・作品名:点字誘導ブロック広島市2026
・作品名:点字誘導ブロック島根県2026
大きさ:900mm×1200mm
技法:ミクストメディア、クリア点字シートコラージュ、アンティークライターと椿花の
写真をコラージュ
製作年月日:2024年8月
2.作風
点字誘導ブロックが直線的に敷かれた構図に魅力を感じ縦長の作品を製作した。近景から遠方に向かう一直線の一点透視図法の構図で2024年の沖縄県国際通りの点字誘導ブロック、2025年の奈良県平城京跡の点字誘導ブロックに表した。一方マンホールや横断歩道に点字誘導ブロックが交わり新鮮な構図がみられる場所をえらび絵画に仕上げた。画面には人に見立てたアンティークライターをコラージュして移動や動きを表し、人の気配を感じさせた。
3.製作意図・テーマ
目的地を目指す点字誘導ブロックがテーマだが、一人で制作するのでなく他者とのコラボレーションして制作することを重視している。
視覚障がい者をサポートする側の協力者が、それぞれの感性で点字誘導ブロックを観察し撮影し、それを作家の私に手渡し、私が選択しデザインしていく。それぞれの協力者は場所及び時間も同じではなく撮影の仕方も様々だ。歩行困難な私一人では出来ない作品だ。遠方の地域や知らない場所の点字誘導ブロックの映像を提供してもらう。このような協力者の支援によって共に作り上げるプロセスも製作のねらいだ。
4.テーマ設定理由
点字誘導ブロックは視覚障がい者が白杖を使って目的地に到着するための街の装置である。凸点の止まれのサインもあれば、白杖を滑らせて進行するサインの平行凸点の形状がある。
点字誘導ブロックを描くことは、「人が進む道」もしくは「人を導く道」しいては人生を描くことに通づる思いがする。目的地を目指す夢の実現のために紆余曲折しながらも歩を進める姿を表現したいと考えたからだ。
5.社会的背景と立場
2024年元旦に能登半島地震が起きた。大災害の恐れは常にかかえた日本だが、世界的には絶え間なく戦争が起こっていた。ウクライナとロシアの戦争は3年が過ぎた。イスラエルとハマスの戦争、アジアでは台湾と中国の軋轢は深まるばかりだ。2025年4月にはアメリカファーストを掲げる大統領のトランプ政権が発した相互関税の調整によって世界は貿易経済戦争に近い状況となった。
第三時世界大戦の予兆とならないことを祈りたい。
6.作品内容
屋外の道路はJIS規格の点字誘導ブロックが敷かれている。形状は統一されている。必要がないと気づかないかもしれないが、視覚障がい者に白杖を滑らせ凹凸の突起で方向をしらせる働きがある。シンプルな造形で、「進めは閉講なストライプの突起」、「止まれは丸い突起で」動作を誘導する。
JIS規格でありながら、敷かれた場所によって点字誘導ブロックの表情が全く異なることに気づいた。地べたに敷かれた点字誘導ブロックは踏みつぶされる頻度が高ければ経年劣化で突起はなくなっていく。掃除や手入れが期待されない場所ではほこりやガムなどがこびりついている。突起がはっきりしたままではあるが、人の気配が感じられない。地べたに貼られているからこそ、地域性・社会性・時代性までも感じさせる街の装置であることがわかった。点字誘導ブロックを描くことだけで、土地も時代も人の生活までも表現することが出来るのではないか?画面中央下には千利休の平等のメッセージ四規七則を点字で表した。
7.作品技法
6人の協力者が提供した点字誘導ブロックの写真合計48枚からブロックの形状や物語性を感じさせるものを選んで、トリミングを施し希望のサイズに拡大印刷した。900mm×1200mm。点字誘導ブロック画面上に小型のアンティークライターをコラージュした。そのコレクションは各種数百の写真だ。それらはライターであるが、ふたを開けている様子が、まるで片手で帽子を持ち上げているようにみえるライターが気に入っていた。製作した4点の作品にはこれらの人型アンティークライターと靴型のアンティークライターを貼り付けて賑わいを出した。他には同様にコレクションしていた椿の花の写真をコラージュした。スケルトンの用紙に点字で「四規七則」(千利休)の書を打ち出したものを貼り付けている。
8..2024年~2026年の活動記録(発表団体と発表場所を含む)
2024年
1月13日読書会和菓子のアン川崎アイアイセンター
1月28日若松河田会ZOOM交流会
2月4日神奈川歴史探訪鶴見
2月10日和波孝ヴァイオリンデュオコンサート川崎アイアイセンター
2月17日陶芸ラポール横浜
2月21日落語会東急不動産立川
3月3日桃の節句100年のお雛様雛祭り
3月10日手と目で見る美術館西早稲田
3月24日斎藤ひろみ葬東戸塚
4月4日横浜トリエンナーレ、ニューグランドホテルレストラン
4月6日お花見桜道みなとみらい
4月7日お花見幸ヶ谷公園
5月6日神奈川歴史探訪山下公園
5月11日ジャズコンサート川崎アイアイセンター
5月12日華道研修二俣川ライトセンター
5月21日佳澄ちゃん親子に初対面神戸アイセンターネクストビジョンにて
5月22日京都府京都御所、京都市立美術館、京都大学
5月23日奈良県平城京跡
5月26日横浜トリエンナーレ横浜美術館
6月2日横浜港花火大会招待大雨決行
6月4日サンシティ横浜南保土ヶ谷
6月10日サンシティ横浜
6月14日富岡製糸場保視協
6月15日読書鑑賞会川崎アイアイセンター
7月15日ファンハワイ赤レンガ倉庫
7月21日横浜ジャズコンサートヨコハマタワーズギャラリー
7月25日佳澄ちゃんアートレシピはじめてのZOOM
8月2日ヨシタケシンスケかもしれない展横浜そごう
8月8日上野動物園上野
8月25日若松河田会交流会ZOOM
8月28日佳澄ちゃんZOOM,線の散歩のあとは色の合奏卵パッケージの建築物
9月5日読書鑑賞会「和菓子のアン」川崎北部福祉会館
9月16日三遊士展銀座ギャラリー檜オープニングパーティ他
9月19日ショパンピアノコンサートラポール横浜
9月21日山梨県周辺研修会
9月22日~9月28日横浜市内歴史的建造物資料収集ドアノブなどパーツ写真撮影
9月29日長崎剛28周年庭園美術館表参道
10月6日GSTBロイヤルパークホテル展示会
10月11日順天堂眼科外来
10月14日新国立美術館、木島隆夫展銀座ステージ1
10月19日神奈川歴史探訪シーサイドライン付近
10月31日田中一村展東京都美術館上野
11月3日陶芸教室ラポール横浜創作工房
11月中旬胃腸不良活動見合わせ
11月17日東京芸大博士課程展覧会東京芸大学生会館上野
11月19日港北録音グループ交流会横浜市役所2F椿食堂
11月25日世界遺産トーチランドコンサート渋谷
12月1日アメリカン社交ダンス交流会ラポール横浜
12月9日NHKきょうの料理100年NHK博物館慶応アートセンター
12月20日劇団四季二人のロッテ藤沢市
12月22日華道研修健福センター桜木町
12月24日クリスマスイブパーティー横浜ニューグランドホテル
12月28日日本フィル第九演奏会みなとみらいホール
2025年
1月18日日視連関東ブロック大会水戸市
2月12日ディスプレイミュージアムアートフラワー研修会
2月15日穴澤ヴァイオリンコンサート川崎アイアイセンター
2月24日~26日「心臓カテーテル検査」入院川崎幸病院
3月27日ヴァイオリンデュオコンサート四谷紀尾井ホール
ヨコハマSASユニバーサルデザイン研究室
「盲女美術SACHIKOが提案するデザイン」
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