1.はじめに
Ribbonのモチーフに「書」の表現を加えた。
さらに空間構成だけでなく、スピード感・方向性など時間的要素も画面に組み込んだ。
モノクロからカラー使いに色彩にも変化を生じた。
★1980年神奈川県展協会賞(緑)
●1980Ribbon
楕円ボックス
●1980Ribbon
Red Box
●1980Ribbon
ブランコA
●1980Ribbon
ブランコB
●1987.モダン37
RibR
●1988モダン38
赤い都市
●1988Ribbon
グレー、チョコビーンズ
●1988Ribbon
グラデーション車
●1988Ribbon
グラデーション人形
●1989モダン39
Thespace of Ribbon-B
●1990モダン40
Sace of The Ribbons90Yerrow
.●2006モダン56
雲の中のエアプレイン
2.作風
シルクスクリーン印刷による写真製版の技法を、これまで通り用いた。
原画は、書と写真を組み合わせて表現した。インクの墨色を使いモノクロの表現の名残りもあるが、加えて、鮮やかな純色の赤や緑を使った。
画面は静止したものではなく、動きや時の流れも表現した。
3.製作意図・テーマ
移り行く一瞬を捉えたいと思った。走り続けるうち何のために走り続けるのか分からなくなった。自分や社会にブレーキをかけ、終止符をうつ勇気も必要である。
1983年頃から始まったバブル景気は欲望が次々と生まれ続けるが、欲望である限り満足することはなく、また欲望のお化けが現れる。
4.テーマ設定理由
空間構成から時間の移動に関心が移った。Ribbonを丸めて投げたり、Ribbonを宙にたなびかせたりする一瞬をとらえた。これを写真で撮り製版し、一方に大筆を用いて刹那的な自分の気持ちを直接表したりした。このような時間の流れや停止、あるいは、スピードに関心が移ったことが、新しいテーマを設定した理由である。
5.社会的背景と立場
バブル景気に沸いた時代である。その景気に陶酔した者もいれば、異常とわかりながらも止めることのできない多くの者もいた。
金銭が飛び交い、豊かさの尺度がお金だった時代で、ほとんどの人が自分を見失った時代である。
6.作品内容
メタリックなRibbonの中央におもちゃのフォルクスワーゲンや旅客機をあしらった。
走り続ける人型Ribbonを描いた。走り続ける文明もいつかは限りある。暗雲立ち込める雲形Ribbonに、一つの決心をもって緑の書をしたためてみた。
7.作品技法
シルクスクリーン印刷、カラー印刷である。写真製版の際、Ribbonの部分は網掛けを細かくし、原画の書の部分は網掛けを荒めにした。
鮮やかな赤色や緑色を使ったが、色数はさほど多くはない。
8.発表団体と発表場所
1988年4月:モダンアート協会展入選―東京都美術館モダンアート協会主催()
モダンアート協会回遊推挙、モダンアート協会に所属
1988年8月:シルクスクリーン三人展―シロタ画廊(東京都銀座)
1988年9月:作品書籍掲載―京都国際芸術センター(京都)
1988年11月:個展―村松画廊(東京都銀座)
1989年4月:モダンアート協会展入選―東京都美術館モダンアート協会主催()
1990年4月:モダンアート協会展入選―東京都美術館モダンアート協会主催()
1989年4月:企画展「佐藤忠雄コレクションによる90年代その作家たち展」―オリエント画廊(東京銀座)
1989年4月:モダンアート協会展入選―東京都美術館モダンアート協会主催()
1990年4月:モダンアート協会展入選―東京都美術館モダンアート協会主催()
9.おわりに
写真撮影や写真製版の技法を使って空間構成に集中した。単色に絞ることでフォルムにこだわる仕事をした。