1.はじめに
版画の概念を拡大して解釈した時、様々な版の技法を見つけることができる。
この時代の作品は街中の凹凸がある部分に紙をあて、形を写し取った。転写や凸版画の技法を用いて学生時代には平版、リトグラフト、オフセット印刷を、その後孔版の一種のシルクスクリーン印刷で作品を発表してきたが、凸版に加え転写の技法を表現した。
★2006街の形フロッタージュ
●2005モダン55
記憶の転写、2005-4
●2007モダン57
街の記憶横濱2007-3
●2008モダン58
SILKのパーツからの記憶
●2009モダン59
●2011モダン61
作品2011.4ハマの記憶
●2012モダン62
作品2012龍眼飛遊
2.作風
鉛筆で形をこすり出すフロッタージュの技法を用いて製作した。
マンホールのふたの模様や身近なマークなど、生活を取り巻くモチーフを探し求め作品の要素とした。
3.製作意図・テーマ
街の記憶を擦りだすことを目的にその行為に臨む。私自身の街でのくらしもテーマにした。郵便局のマーク、横浜市のハマの印など、住民の私たちにとっては身近な記号である。主に黒色の単色で生活の今の形を擦りだした街の記憶を低自分の手で定着させた。
4.テーマ設定理由
版画の解釈について一つの製作意図がある。投影のひとつである。
またもう一方には、現在の人の暮らし、理想を表現したいと考えた。
フロッタージュの技法を用いて都市の形をこすり出し組み合わせることで自分を含め大勢の人の暮らしを表したいと考えた。
5.社会的背景と立場
自民党小泉政権、アメリカ・イラク戦争に自衛隊が支援ということで参加。
中国・韓国と関係悪く、経済的には一部中小企業を除いては回復。
6.作品内容
都市の記号をフロッタージュするために街中を歩き回り、テクスチャーをもつ記号もしくはマーク、または模様に薄紙をあて時間をかけて鉛筆で型をこすり出した。
これをレイアウトし再構成することで、現在の街の記憶を画面に表現した。
7.作品技法
ある意味魚拓などに見られる拓本の一種の技法で、都市の生活にある形を写し取っていった。
フロッタージュの技法で表現した。鉛筆を使ったのは手軽な材料のため街を移動しながらの作業にはもってこいだったからである。
8.発表団体と発表場所
2006年4月:モダンアート協会展東京都美術館(名古屋・京都展・福岡展)モダンアート協会主催
2007年4月:モダンアート協会展東京都美術館(名古屋・京都展・福岡展)モダンアート協会主催
2008年4月:モダンアート協会展東京都美術館(名古屋・京都展・福岡展)モダンアート協会主催
2009年4月:モダンアート協会展東京都美術館(名古屋・京都展・福岡展)モダンアート協会主催
2010年4月:モダンアート協会展東京都美術館(名古屋・京都展・福岡展)モダンアート協会主催
2011年4月:モダンアート協会展東京都美術館(名古屋・京都展・福岡展)モダンアート協会主催
2011年5月:セーラムギャラリー(NY)Japan Print店、
2012年4月:モダンアート協会展東京都美術館(名古屋・京都展・福岡展)モダンアート協会主催
以上のように、2006年~毎年、モダンアート協会の年一回の東京都美術館本展のみの発表を行う。
2008年平成19年:網膜の病気のため中途失明し、行政から第一柚第二級視覚障害者として認定された。視覚障害者生活支援施設に数年間通い、訓練を受ける。事後も教職を継続するものの、第一種第一級に病気は進行する。
2011年5月:セーラムギャラリー(NY)Japan Print展、コントラストがはっきりとした作品を制作し出品した。
9.おわりに
版画の定義は、版をもとにこれを印刷することで複数の絵画を製作することである。
版画の工程は手作業で行う場合が多いために、色のかすれやにじみなど印刷物でありながら味わい深い表現が生まれる。
ここに芸術的な価値を見出す。この過程を大切にしながら新しい版画を作り出したいと考えている。