1.はじめに
「黄色い都市」シリーズを作り始めた時代である。
大型の版画で一人で印刷することが出来ず、工場で複数の人の手を借りて製作した。
色に深みをもたせるため、ひとつの版をずらして刷った。下層のもの以外は透明感を与え、重なりに変化をもたせたのもこの頃である。
★1993鏡の都市(実物)
●1991モダン41
春の夜
●1992モダン42
地底にうごめくものを捕らえる、都市からⅡ
●1996モダン46
黄色い都市96-1
●1999モダン49
緑の都市
2.作風
シルクスクリーン印刷で写真製版を用いた。
ベタの部分を無くし、画面全体に網目を施した作品である。その網目とは次の三種で、一つが写真製版の時に行う「網掛け」二つめが印刷に使用したシルクの”メッシュ数”、そして三つめがモチーフとして使用した織物の網目である。
さらにずらして印刷をすることで、より複雑な網目の表現ができたと思う。
3.製作意図・テーマ
作品「黄色い都市」は1990年~2000年にかけての日本の都市をイメージして製作したものである。これまでの価値ある豊かさの象徴が崩れ、将来に対する重い不安と失望が人々を襲った。
作品は、解決の糸口さえ見つからない混沌とした時代の日本を表現した。
4.テーマ設定理由
政治・経済・社会、日本中の全てがバブルに沸いた。
非現実的な金銭感覚に踊らされた日本全国。
5.社会的背景と立場
昭和の時代も終焉をむかえるころ、絶頂期のバブルが崩壊し、平成の暗い低迷した時代をむかえた。
銀行や大企業の倒産、地価の暴落、不動産神話が崩壊した時代であった。
6.作品内容
これまでの作品と異なり、一版の版で、これを僅かずつずらしながら印刷したところにこの時代の作品の特徴があるかと思う。
インクにはメジュームを多く混ぜ透明感を与え、下層の印刷との重なりがわかるようにした。
これによって色彩に深みが生まれたのだと思う。
7.作品技法
これまでの作品と異なり、一版だけで刷った。インクはメジュームを増やし、5mmほどずらした。透明感を活かした。そのために下層の図柄がみえるようにしてm彩に深みを持たせた。色も僅かずつかえ、奥行きを表した。
8.発表団体と発表場所
1900年4月:個展―村松画廊(東京銀座)
1900年7月:個展―相鉄緑園都市ギャラリー(横浜緑園都市)
1991年6月:常設展貸し出し―Oギャラリー(神奈川県町田市)
1991年4月:モダンアート協会展入選東京都美術館(名古屋店・京都展・福岡展)モダンアーと協会主催
1991年9月:モダンアート明日への展望展横浜市民センター(横浜市)モダンアーと主催
1991年9月:神奈川県協会展協会賞受賞、横浜市民ギャラリー神奈川県美術協会主催
1992年4月:モダンアート協会展入選東京都美術館(名古屋店・京都展・福岡展)モダンアート協会主催
1992年9月アメリカ大賞展入賞―ニューヨークブロンクス美術館(アメリカNY)
1993年4月:モダンアート協会展入選東京都美術館(名古屋店・京都展・福岡展)モダンアーと協会主催
1993年4月:モダンアート協会会員推挙、モダンアート協会所属
1994年4月:モダンアート協会展入選東京都美術館(名古屋店・京都展・福岡展)モダンアーと協会主催
9.おわりに 平面作品からレリーフ作品に変わっていった時代だった。様々なテクスチャーの素材の貼り付けにも大きな興味をもったのもこの頃だった。視覚の衰えにに添うように次第にエスカレートしていった。